顎関節症
顎関節症について

顎関節症のセルフチェック
- 口があけにくくなった
- 耳の前あたりが押すと痛む
- 首筋やあごの周りの筋肉が
こわばっている - 大きく口をあけると音が鳴る
顎関節症の症状
- 関節雑音
あごの関節には動きを補助する関節円板という軟骨が存在します。この軟骨に位置異常が生じるとお口の開閉時に雑音が聞こえます。
- 開口障害・運動異常
お口の動きが悪くなります。
- 顎の痛み
お口を動かす筋肉や関節周囲の組織に痛みが出ます。
この中の1つでも当てはまり、他に症状を引き起こす病気がない場合顎関節症と診断されます。
顎関節症の種類
Ⅰ型:咀嚼筋疼痛障害
噛む筋肉である咀嚼筋が過負荷によって筋肉疲労を起こし、痛みが出た状態です。
Ⅱ型:顎関節痛障害
顎関節を構成する靭帯などの組織に炎症が起こり痛みが出ている状態です。
Ⅲ型:顎関節円板障害
顎関節円板がズレている状態です。大きく口を開けると痛みが出たり、口が開かなくロックすることもあります。
Ⅳ型:変形性顎関節症
関節自体が変形してしまっている状態です。
顎関節症の原因について

顎関節症になりやすい習慣
- 横向き寝をしている
- 片方でよくものを食べる
- ガムをよく噛む
- 強張るようなストレス、緊張の続く仕事をしている
- 吹奏楽など楽器をしている
- 食いしばりの癖がある
- 頬杖をつく
TCH(Tooth contacting habit:日中に無意識に行なわれる上の歯と下の歯の接触させる習慣)
TCHは顎関節症の患者さんの8割以上にみられる習癖で、これを改善するだけで顎関節症状が改善する人が多くいます。 無意識のなかでは上の歯と下の歯の間には隙間があります。上と下の歯が接触する時間は1日のなかでわずかに20分未満とされています。
ところが、TCHを有する方は、これよりも長い時間、上下の歯を接触させる癖をもっています。
このように無意識で上下の歯の接触が長時間繰り返されることで、顎関節に負担が蓄積されます。
顎関節症を放置すると
初期症状であれば、およそ3分の1は放置しても症状が消失することがあると言われています。これは、一時的に顎関節に負荷がかかっていたものが収まったことで落ち着いたと考えられます。顎関節に蓄積したダメージが治癒することはありません。傷ついた状態は残ります。それでも症状はコントロールできる場合があります。
しかし、徐々に悪くなった顎の歪みが自然に元の状態にもどることは難しいです。顎の歪みを改善させるには、まず緊張した筋肉を緩め、筋肉のリラクゼーションをする必要があります。その後、顎を歪める原因となっている環境を改善させることが必要です。放置して痛みが治まるのは、あくまで症状が軽度の場合です。放置すると悪化するおそれがありますので、まずはご相談ください。
顎関節症の治療方法

薬物療法
消炎鎮痛薬などを用いて消炎と鎮痛を図ります。
生活習慣の改善
顎関節症が軽度の場合、噛み癖や横向き寝、食いしばりなどの習癖を見直すことで改善できることが多いです。
理学療法
徒手で関節を動かし、ずれてしまった顎関節組織の位置を修正します。またご自身で顎関節の動きをスムーズにする顎関節のストレッチも行います。
スプリント治療
マウスピースを装着し、顎関節の安静を図ります。
顎関節症にならないために
TCHの意識改善
- 片方ばかりで噛まず、両方の奥歯を均等に使う
- 頬杖をつかない
- 横向き寝をしない
顎関節症のよくある質問

Q.食事はどのようにしたら
いいですか?
A.顎に負担のかかるたべもの(バケットや、硬い肉、ガムなど)は避けてください。
症状が強い時は、噛まずに飲み込めるようなおかゆ、そば、などがおすすめです。
Q.スプリント治療とはどのような
治療ですか?
A.噛みしめた時に特定の歯だけに接触が起きる状態を改善し、歯の全体が均一に接触するように作られたマウスピースがスプリントです。
マウスピースをはめることで、特定の歯だけに生じていた接触を、他の歯にも接触するように調整します。
Q.顎関節症に効果のある
マッサージはありますか?
A.こめかみや頬にある筋肉に指の腹をあて、なでることで筋肉を柔らかくするマッサージ法があります。
それぞれ側頭筋や咬筋という筋肉のマッサージになります。1日に2,3回(入浴中が効果的です)行ってください。
Q.顎関節症の痛みはどれくらい
続きますか?
A.多くの場合は2週間から3か月程度で症状は改善します。
統計的に約7割の患者さんは1年以内に症状が問題ないレベルまで改善します。
しかし、3割の人は1年以上続いており、改善しない方もおられます。この場合は専門的な医療機関での診療が必要になります。
Q.やってはいけないことは
ありますか?
A.悪い習慣や癖を放置してはいけません。
また「かみ合わせが悪いから」と思い込み、歯科矯正を行ったり、かみ合わせを変えるために歯を削ることは良くありません。
まずは生活習慣の改善、セルフケアを大切にしてください。
Q.治療用マウスピースの費用は
いくらですか?
A.保険適用で、現在3割負担だと3000円程です。
Q.子どもでも顎関節症に
なりますか?
A.なります。小学生までは少ないものの、中学生、高校生と、年齢が上がるにつれて増える傾向があります。
小児の顎関節症の発症率は、10%前後といわれています。
あごの発育による関節の変化や、頬杖・猫背などの生活習慣と関係しています。また自然に治る可能性もあります。
ただし重症化していくこともあるため、気付いたら早めに歯科医院に受診してください。